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走査型トンネル顕微鏡の基本原理

走査型トンネル顕微鏡(STM)は、金属や半導体など導電性を持つ物質の表面形状を、1nm程度の精度で検出することができます。

ここで主役になるのは、原子物理学でトンネル効果と呼ばれるものです。

一般的な物質は、壁(その物質自身よりずっと高密度に粒子が集まった堅い物体くらいの意味)を通り抜けることはできません。

しかし原子レベルでは、物質は波動性を兼ね備えていますから、導電性物質の中の電子は必ずしもその中だけにとどまっておらず、一部が外に漏れ出してきます(トンネル電流)。

そしてその電子の量は、導電性物質の表面から離れるほど、指数関数的に減衰して小さくなっていきます。

ということは、表面近くをなぞってそのトンネル電流を計測できれば、あるいはトンネル電流が一定になるように表面近くをなぞることができれば、表面形状はわかるわけです。

実際には、白金やタングステンなどの先端(探針)を細く尖らせ、表面近くをなぞって電流量を測定します。

探針と試料の間を真空にする必要はありません。

溶液中でも大丈夫です。

また単なる測定だけでなく、探針に原子を付着させたり放したりという原子操作も可能です。

1989年にはIBMの研究者がキセノン原子一個一個を並べて「IBM」という文字を作り、大きな話題となりました。


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