原子間力顕微鏡の基本原理

走査型トンネル顕微鏡で表面形状を計測できるのは、導電性を持つ物質だけでした。
しかし導電性のない物質でも、原子間力と呼ばれる原子相互の作用力を利用して、やはり探針をなぞりながら走査させることで表面形状を計測することができます。
これが原子間力顕微鏡(AFM)です。
このやり方には、大きく分けて、探針(カンチレバー)を表面に接触させた場合の原子間斥力を利用する方法と、接触させずに原子間引力を利用する方法とがあります。
前者はカンチレバーの動きをレーザーなどで読み取るもので、分解能は高いのですが、接触するので肝心の被観測物体を破壊してしまう危険があります。
後者は、探針の固有振動数が原子間引力の影響で変化するという性質を用います。
振り子は長さにより一定の振動数を持ちますが、そこで重力の強さ自体が変わる(例えば上昇を始めたエレベータの中に乗せる)ことによりその振動数が変化するのと、ある意味で似た理屈です。
さらに変形による電気抵抗変化で計測することも可能です。
米IBMは、AFMの探針に音叉型水晶振動子をとりつけ、コバルト原子に探針を近づけることでその固有振動数が変化することを利用して、コバルト原子を結晶体上で移動するエネルギーを、17pNなどと計測しました。
これにより2nm四方くらいの領域を磁区とするハードディスクが可能となるかもしれません。
図6で触れたように、カンチレバーにはCNTも使われます。
- 前のページへ:走査型トンネル顕微鏡の基本原理
- この記事の属するメインカテゴリ:顕微鏡への応用事例へ戻る

