単量子メモリはどれくらい高密度か

近年、単量子メモリという概念が脚光を浴びています。
究極の意味では、0.1nm程度の大きさを持つ原子一個が1ビットに相当する、ということになるのでしょうが、これは流石にまだ実現の道筋は見えていません。
一個でなく原子数個にしても同じです。
従って、とりあえずは前項で説明した量子ドット一個が1ビット、と考えてみましょう。
つまり一辺が10nmの立方体で1ビットを記録できるということです。
10nmは10**(-8)メートルですから、逆にいうと1立方メートルあたり10**24ビットが記録できるということになります。
1辺1メートルなんて大きすぎるというなら、1立方センチメートルあたり10**18ビットといっても構いません。
さてここで、米国のクリントン大統領(当時)が、ナノテクノロジーの一つの成果目標として述べた、「米国議会図書館の全情報が角砂糖サイズに収納できる記憶素子」という言葉が気に掛かってきます。
本当に可能なのでしょうか。
検証してみましょう。
奇しくも角砂糖といえば、乱暴にいえば1立方センチメートル程度の大きさです。
まず一冊の本の情報量ですが、文字データとしては大したことはありません。
原稿用紙一枚あたり日本語で6400ビットですから、1500枚くらいの大作でも、10**7ビット程度です。
一方で、1Mバイトというかなり高精細の絵が125枚入っていたとすると、10**9ビットということになります。
だから文字は無視して、これを本一冊のの情報量としましょう。
日本では年間6万点程度の本が出ています。
米国はもっと多いかもしれません。
もちろん米国議会図書館は自国以外の本も貯蔵するでしょう。
仮に年間100万点を貯蔵すると、年あたりの情報量は10**15ビットです。
ということは、1立方センチメートルあたり10**18ビットの貯蔵能力があるわけですから、一千年分を貯えられることになります。
当然ですが、前大統領が述べたことは、荒唐無稽なことではなかったのです。
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