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量子コンピュータと公開鍵暗号

前項で述べたように、現在はせいぜい数ビットレベルではありますが、1ビットずつ別々の回路で処理するのではなく、量子ビットをまとめた形での処理が可能になってきています。

これを応用したものが、量子コンピュータと呼ばれるものです。

各ビットごとに演算した場合、たとえ並列的に処理をしたとしても、ビット間には桁上げ(いわゆる繰り上がり)情報の伝達が必要となるので、それだけ長く時間がかかってしまいます。

また論理式の演算が大量にある場合も、1つのデバイスでの処理が同時に一つだけだと、処理速度には限界が生じてしまいます。

これに対し、同じデバイスの中で数十ビットもまとめて処理ができるようになれば、全体の処理速度は圧倒的に向上します。

それこそが量子コンピュータのメリットなのです。

2004年10月、米国のジョージア工科大学は、絶対零度近くに冷やしたルビジウム原子ガスに赤外線レーザーパルスを照射してそのエネルギー状態を変え、またその状態を偏光として読み取る、一種の記憶素子を開発したと発表しました。

量子コンピュータのメモリとして期待できそうです。

今のIT産業に具体的に影響を及ぼしそうなのは、さまざまなところで使われている公開鍵暗号です。

具体的説明は省きますが、この仕組みの中で重要な仮説は、何百桁もあるような自然数の素因数分解には高速コンピュータを使っても何千年もの時間がかかり事実上不可能、ということがあります。

例えば257×523=134411という計算は、電卓があれば一瞬、手計算でも1分以内にできるでしょう。

しかし逆に143311という数字だけが与えられ、さあ素因数分解してみろ、といわれても、「2で割れないし」「3で割れないし」「5で割れないし」...と繰り返すことになり、1時間あっても難しそうです。

桁が大きくなると、素因数分解というのはきわめて困難なのです。

しかし量子コンピュータが実用化されると従来不可能といわれていたことも可能となるという予測があり、暗号体系は大きな変革を余儀なくされるかもしれません。


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