カーボンナノチューブ(CNT)とは

サッカーボールを見ればわかるように、正五角形と正六角形とをうまく組み合わせると、全体として球に似た形で閉じさせることが可能です。
一方、同じ大きさの正六角形だけを隙間なく並べると、これは平面になります。
そうしてできた平面を、タバコの巻紙のように筒状にしたものがカーボンナノチューブです。
筒の直径は、小さいもので1nm強、大きいもので数十nmです。
きわめて軽くて強く、熱伝導性や導電性にも大変すぐれた物質です。
その導電性ですが、無条件に流すのではなく、径をコントロールすることで、半導体としての性質を持たせることも可能です。
それを利用して、カーボンナノチューブをチャネルに用いた電界効果トランジスタを実現しようという動きがあります。
トランジスタといえばシリコンというのが最も一般的ですが、それに比べて増幅率は10~100倍高くなりうるのです。
ただし従来はその特性がきわめて不安定で、事実上使うことはできませんでした。
しかし2006年2月28日、大阪大学は、産業技術総合研究所や科学技術振興機構と共同で、時間に対する変動は0.01%以内、ヒステリシスの値がほぼ0Vという安定特性を実現したと発表しました。
新しい作成プロセスによりフォトレジストの残渣を取り除いたことが大きな要因で、これは十分に実用化可能な特性だということです。
高感度バイオセンシングや、単一バイオ分子の検出などへの応用が期待できそうです。
またカーボンナノチューブは非常に高い電子放射性を持つので、薄型ディスプレイの電子銃としても期待されています。
一方で水素の吸蔵力が非常に高く、燃料電池普及に不可欠な水素運搬手段としても注目を集めています。
さらに図32で説明する原子間力顕微鏡の探針(カンチレバー)としても用いられています。
2004年12月には、産業技術総合研究所がCNT内では27℃でも氷状態が保たれることを確認し、その気化によるインクジェット・プリンタへの応用が期待されています。
形態的には、一重の円筒だけの単層と、複数の円筒が入れ子になった多層のものとがあります。
最初に発見されたのは後者であり、次の項目で説明するように、製造方法によっては単層だけを取り出すのは難しい場合もあります。
2004年7月には信州大学などが、2芯カーボンナノケーブル(Bi-cable)という新しい形状のカーボンナノチューブを開発したと発表しました。
日立造船と利昌工業は2007年4月19日、財団法人地球環境産業技術研究機構と共同で、カーボンナノチューブを応用した大容量キャパシタを開発し、電池とのハイブリッドで電気自動車を走行させる実験に成功したと発表しました。
ハイブリッド自動車のほか、蓄電一体型太陽光発電などへの応用を目指すということです。
日立造船がカーボンナノチューブを応用したキャパシタ素子の製造技術を開発し、利昌工業が高性能な導電ペーストを開発し大容量キャパシタセルを試作しました。
出力密度が高く、寿命が長く、耐環境性が高いといった特長があります。
またキャパシタに活性炭を使用した場合と比較し、極めて短時間で充放電を繰り返すことが可能であり、減速時の回生エネルギーを効率よく使うことができます。
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