なぜナノテクノロジーは重要なのか

ナノメートル(nm)単位の測定~制御技術。
ナノテクノロジーの定義はとりあえずこれでいいとして、ではなぜ今これがそんなに重要視されているのでしょうか。
もちろん、半導体の集積度をあげようと思ったら、線は細い方が良いに決まっています(電子がスムーズに流れる範囲で)。
その意味では、百nmよりは十nm、十nmよりは一nmでコントロールするのは大切な技術です。
しかし前項で述べたように、百nmでさえも可視光の波長よりはるかに短いという技術的難点があります。
それを踏まえてもなおnm単位にこだわることの意味は何なのでしょうか。
一つは、細胞のDNAのサイズがまさにnm単位ということがあります。
いわゆるオーダーメイド治療(各個人に即した治療)のためにはDNAを直接的に扱い、観測する必要があるからです。
また、患部にのみ薬剤を作用させるドラッグ・デリバリー・システム(DDS/図25)でも、十nm単位のナノ粒子を扱うことが必要となります。
第二に、単電子トランジスタや量子コンピュータに代表されるように、原子や分子レベルで「流れ」ではなく「個々の粒子の振舞い」が次世代コンピュータ技術の中で重要になるからです。
もちろん電子自体はnmより遥かに小さな世界ですが、少なくともnm単位で回路などを設計してやらないと、せっかくのこういった原理も作用しません。
三つ目として、フラーレンやカーボンナノチューブという極めて有用な性質を持つナノサイズの物質が発見されたことがあげられます。
どんな性質なのかは後に詳しく見ますが、まさに現在のナノテクノロジーの花形ともいえる物質であり、ナノテクノロジー=カーボンナノチューブみたいな記述にすら、時々出くわすことがあります。
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