ナノテクノロジーとは何か

キロが千倍、マイクロが百万分の一倍を表わすように、ナノというのは、十億分の一倍を表わす、いわば単位の接頭語です。
つまり1ナノ秒といえば十億分の一秒であり、5ナノグラムといえば十億分の5グラムのことです。
ただしナノテクノロジーという言葉の中のナノは、第一義的には、ナノメートルを表わします。
つまり十億分の一メートル程度の空間スケールの現象を扱う技術ということができます。
ヒトの大人の身長は、大半が1~2メートルです。
そのヒトが、何の道具も使わずに物体の位置をコントロールする精度や、筆だけを使って書く文字の大きさといえば、せいぜい1ミリメートル程度でしょう。
これはいわば、ミリテクノロジーの世界です。
しかし人類はさまざまな道具を編み出してきました。
顕微鏡を使って観察したり、精密機械の助けを借りたりすることにより、ミクロンすなわちマイクロメートル単位で何かをコントロールすることは、今や全く珍しくはありません。
ちなみに細胞の大きさは大体数十ミクロン(鶏卵のような例外も)ですし、その中の染色体は数ミクロン程度、赤血球や大腸菌は1ミクロン程度です。
半導体の世界では、回路幅を1ミクロン以下にするのが長年の夢でしたが、これも実現されました。
そこから先が、いわばナノテクノロジーの世界といえます。
可視光の波長が数百ナノメートルですから、それと同等もしくはさらに短い世界です。
つまりどんなに倍率をあげても、通常の視覚で捉えることはできなくなります。
DNAの二重らせんの幅が約2ナノメートル。
今やその二重らせんの間に人為的に銅イオンをはさむことも可能になっています。
ちなみにミトコンドリアは百ナノメートル、ウイルスは十ナノメートル程度です。
原子自体の大きさは0.1ナノメートル単位ですから、さすがにそこまではいきませんが、こういった圧倒的に小さな空間を観察したり制御したりする技術こそが、ナノテクノロジーなのです。
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